ある男性は転職を考えていた矢先に、たまたまみつけたSNSの書き込みを見て転職する事を躊躇するようになったと言います。その書き込みは大手のメーカーに勤めている人が会社を辞める直前から始まっていました。「この会社では自分の能力は発揮できない」「辞めるしかない」「自分の才能をもっと花開かせる会社はどこにでもある」「さあ転職だ!」このようにこの書き込みは続き、ついに転職を決意したことがわかりました。この書き込みを読んだ男性は自分の転職したいという思いを後押ししてくれるような内容だと感激しました。そしてその後の書き込みをわくわくしながら読み始めました。
しかしその書き込みの続きは男性が予想しているのとまるで違った展開を迎えました。「あまり仕事が楽しく感じない」「設備が前の会社の半分以下だ」「給与が安すぎる」このように転職先の会社の悪口ばかりが書き込まれていたのです。「この会社は私の能力をタダ同然のお金で搾取している」「私よりも優秀な人が上司にひとりもいないので学べない」など会社や同僚、上司の悪口ばかりがしばらく続きました。
そしてそれから数か月後の書き込みを見ると「私はなんて事をしてしまったんだ」「以前の会社は実は素晴らしい会社だった」「私がした選択は間違いだった」「出来る事なら前の会社の社員全員に土下座をしてでも帰りたい」というように、転職を選択してしまった事の後悔と、以前の会社に帰りたいという泣き言ばかりになっていました。
このSNSの書き込みを読んだ男性は、転職する事に対して疑問を持つようになってしまいました。もしかしたら自分もこの書き込みと同じような後悔をする事になるかもしれないという怖さがわいてきたそうです。同時に男性は「転職が失敗したのではなく、転職先の選択ミスだったのではないか」「もっと給与などの条件交渉を行ってから転職を決めればよいのではないか」「転職に失敗したと感じたなら泣き言ばかり言わずに、また次の転職先を探せばよいのではないか」という意見を持ったそうです。もしも自分が転職をする時にはこの書き込みの失敗から学んで、きちんと転職活動をしようと男性は思いました。
しかしやはり「隣の芝は青い」という間違いを自分も犯してしまうのではないかという怖さが同時にわいてきてしまうのも事実だという事です。転職を踏みとどまってしまうのは、転職できないかもしれないという怖さだけではなく、転職先よりも今の会社のほうが良かったと後悔する怖さもあるという事実を示している話だと思います。
今の会社よりもっと待遇の良い会社から転職の内定をもらっているのにもかかわらず、元の会社の同僚達への罪悪感から転職を取りやめてしまう人がいます。しかしビジネスマンである以上キャリアアップを目指すのは当然で、その事は同僚達も理解しているはずです。またもしも会社の業績が悪くなり、会社があなたを解雇したとしても、会社はあなたに対して罪悪感を感じる事はありません。解雇する側に罪悪感がない以上、転職する側にも罪悪感は必要ないのではないでしょうか。